はじめに
2025年の「SusHi Tech Tokyo」に出展・参加してきました。今年も多くの来場者がありましたが、他の量子展示会とは違った客層と空気感があり、量子コンピュータ業界の世代交代や技術の進化の節目を感じさせるイベントとなりました。
来場者の傾向とイベントの雰囲気
来場者の傾向として、前半2日間は海外からの来場者が多く、国際色豊かな雰囲気でした。対して最終日は一般の方の来場が中心となり、業界関係者の姿はだいぶ少なく、最後まで残っていたのはブースの出展者の半分以下という印象です。
この変化を通じて、「技術業界における展示会の役割や参加者層の変化」を強く感じました。
出展企業の傾向と日本の立ち位置
今回、量子コンピュータ関連の出展企業は海外勢が圧倒的に多く、日本企業は非常に限られていました。特にハードウェアを扱う日本企業は弊社blueqatのみであり、その他はソフトウェア中心。加えて材料系の日本企業が2社あった程度で、日本のプレゼンスが少し寂しく感じられました。
この構図は、量子分野におけるグローバルな競争力の変化や世代交代の兆しを如実に表していたと思います。
展示内容と反響
弊社blueqatでは、以下の2点を中心に展示を行いました:
- 量子LLM(大規模言語モデル)
- 半導体量子コンピュータ
いずれも多くの方に関心を持っていただき、専門的な質問をしてくる方も増え、知識レベルの底上げを実感しました。また、投資家やVCの訪問も多く、「実装・応用を見据えた真剣な関心」が高まっていると感じました。
ピッチイベントにも参加し、英語でのプレゼンを行いましたが、内容的には非常に充実した体験でした。
メディアとの関わりと一般認知の差
初日にはテレビ東京さんが来場され、Q-Star全体および弊社blueqatを取材してくださいました。量子コンピュータ業界は難解に見られがちですが、弊社が**展示した「プラレール」や「化粧品」**が、逆に説明しやすく、非常にわかりやすいと好評でした。比喩や現物展示の重要性をあらためて認識する機会となりました。
一方で、他のメディアや一般の方々の認識と、業界内部の現状との間に大きなギャップがあることも痛感しました。この認知ギャップが、技術の社会実装や理解促進の障壁にならないか、一抹の不安を覚えました。
今後に向けての所感
イベント全体を通して、技術はますます加速しており、時代の流れも変わりつつあることを強く感じました。量子業界も例外ではなく、今後は一部の限られた人しかついていけないスピードで進化していくかもしれません。その中で生き残るには、知識のアップデートと作業効率の向上が必須です。
技術者も、企業も、そして業界全体も、**「わかりやすく、社会に届くかたちで伝える力」**が求められていくとあらためて思いました。
おわりに
SusHi Tech Tokyo 2025は、展示内容や来場者との対話を通じて多くの学びがあり、**量子コンピュータ業界の「今」と「これから」**を考える大きな機会になりました。業界全体が次のステージに向かう中、弊社としても進化を続け、社会と技術の橋渡し役を担っていければと思います。