こんにちは、量子コンピュータ業界はビジネス色が強くてどうすればいいかわかりづらいですね。量子コンピュータとイジングマシンについてまとめてみたいと思います。
イジングマシン
最近講演会などでイジングマシンの進捗にかんして触れることがありました。課題設定や発展が量子コンピュータと大きく異なっていたので、もう量子アニーリングやそれから派生するイジングマシンは全くの別物と扱ってもいいのではないでしょうかという印象を受けました。以前は相互に得られるものがありましたが、まったく別の方向性で発展をしていると感じました。
量子コンピュータは組合せ最適化問題を速く解けない
よくイジングマシンと量子コンピュータを比較することがありますが、そもそも量子コンピュータでは組合せ最適化を高速に解けません。ですので、量子コンピュータよりもイジングマシンが速いという主張はそもそも意味がありません。イジングマシンの良さは、もはや量子コンピュータとの比較ではなく、イジングマシンそのものが開拓した、一部の組合せ最適化や業務効率における解法を突き詰めているという独自路線にあるでしょう。
量子アニーリングマシンよりイジングマシン
現在市場に出回っている量子アニーリングマシンは一種類しかありません。カナダのD-Waveのマシンです。ただ、精度もまだまだ業務で利用できる水準ではありません。一方量子アニーリングから派生した、イジングマシンは数種類出ています。基本的には既存のGPUやFPGAを利用したものですが、イジングマシンのほうが種類が多くて混乱する元となりますし、D-Wave自体も理想的な量子アニーリングの実装からは多少外れているので、まとめてイジングマシンという名称のほうが都合がよいと思います。理想的なイジングマシンでFPGAなどを利用したものは業務への応用は多少近いと思います。大枠のイジングマシンの中にちょっと量子アニーリングマシンがあるという認識が正しくなってきている気がします。
イジングマシンから量子コンピュータへ移籍するのは至難の業
ほぼ最近では独自路線を進んでいて両社は別物なので、知識の共有は難しいです。量子アニーリングを学んでから量子コンピュータへ移行するのはかなり大変だとおもいます。別物として認識をしてそれぞれの強みを生かしたほうがよいのではないでしょうか。よく、量子アニーリングを学んだから次に量子ゲートという人が最近増えていますが、それはどちらの業界にとっても良い方法ではありません。明確にイジングマシンを学びたい人材と量子コンピュータを学びたい人材は区別し、共有すべき時ではありません。量子コンピュータの一部としてイジングマシンの課題を解決できる段階は過ぎて、イジングマシン独自の課題として発展すべき時です。
まとめ
今後はイジングマシン側も量子コンピュータとの比較を喧伝するのはマイナスになると思います。ユーザーコミュニティやソフトウェア資産をうまく利用しきちんと業界を発展させる必要があり、量子コンピュータと人材を共有することが難しくなります。すでにイジングマシンの有用性は量子コンピュータと大きく異なっています。これを活かすためにはより純粋にイジングモデルを突き詰める必要があると思います。量子コンピュータと比較することで、イジングマシンを学習したから次は量子コンピュータだと、人材を失うのは得策ではないです。以上です。