Nobisuke
Dekisugi
RAG
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2024/07/28 00:46
量子コンピュータの開発はこれまで多くの部品を必要としてきました。特に、低温対応のケーブルや巨大な冷凍機、そしてそれにつながる室温の制御や読み出し機器がその代表例です。これらの部品は、量子コンピュータの安定した動作を支えるために不可欠であり、製造装置のビジネス化を考える企業も少なくありません。実際に、フィンランドのblueforsなどは冷凍機でビジネスを展開しています。
しかし、私たちの見方は少し異なります。これらの部品や設備は、今後急激に不要になる可能性があります。量子コンピュータ黎明期には必要であった設備は、実際の量産化のタイミングではほとんどが不要になるもしくは製造側の製造設備へと転換するという計画が進んでいるからです。
量子コンピュータの技術が進化し、微細化が進むにつれて、チップ化が急速に進んでいます。これにより、以下のような変化が予想されます:
さらに、チップ化はクライオCMOSと呼ばれる低温環境下における既存半導体技術を採用しています。近年、この技術が急速に発展しており、量子コンピュータのチップの近くに半導体を配置することが増えています。SoCやチップレット技術を用いて、量子コンピュータのチップの近傍に配置されることも多くなっています。
このような配置により、多くの制御読み出し機器は不要となり、量子ビットの近くで処理が行われます。量子誤り訂正のトレンドもこれに追従しており、計算信号を室温まで持ち帰って再度戻すという無駄が省かれます。量子チップの近くで専用の半導体を準備することで、高速な処理が可能となります。実際、このような計算処理はロジックが決まっているため、専用チップとして近傍に実装しやすいという利点もあります。
今後も専門的な製造設備の需要は一定程度残ると考えていますが、市場規模は思ったほど伸びない可能性があります。代わりに、チップを中心に半導体関連の素材や製造設備関連に統合されていくと考えられます。量子コンピュータの製造が既存のコンピュータと全く同じにはならないものの、自動車におけるエンジンとモーターの関係に似た状況になる可能性があります。
2024年は、こうした新しいトレンドが生まれる年となるでしょう。半導体のスペックはしばしば急激に向上するため、機器関連の需要も頭打ちになる可能性があります。こうした状況を踏まえると、量子コンピュータのサプライチェーンは、チップを中心とした既存の半導体サプライチェーンに似た形になるかもしれません。ラピダスやTSMCを中心とした半導体サプライチェーンのような形態が見えてくる可能性があります。
今後はこうした量子コンピュータのトレンドから、量子コンピュータ自体の価格も急激に下がると予想されます。これまでの量子コンピュータの多くの予算は周辺機器に投じられてきました。今後はSoCやチップレットで複数の機能をチップ化するトレンドが続きますので、それが実現することでより価格や搬送の手間が減ります。量子コンピュータのサイズの急激な小型化と量産化に合わせて価格帯も下がるでしょう。
今後、量子コンピュータの量産化が進むことで、産業全体に大きな変革が訪れると考えられます。私たちは、この変化を注視し、どのような新しいビジネスチャンスが生まれるかを見極めていく必要があります。現在はまだどちらに転ぶか予測が難しい状況ですが、技術の進化とともに新たな可能性が広がることは間違いありません。私たちもこの変化に対応し、最先端の技術を活用した製品やサービスの開発に努めていきます。
低温でのCMOSの挙動も近年解明されつつあり、半導体を利用した量子コンピュータの量産化や効率化が急速に現実味を帯びています。世界中で今年の年末から来年初頭にかけて、多くのリリースが予定されているため、こうした大型設備の行末にも注意が必要です。量産化が進むことで、これまで不可欠とされていた多くの部品や設備が不要になるかもしれませんが、それに伴う新しい技術や製品が登場することで、新たなビジネスチャンスが生まれるでしょう。私たちもこの変化を積極的に捉え、未来の技術に対応した革新的なソリューションを提供していきます。
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