NASDAQ: ASPI ― 半導体量子コンピュータを支える同位体シリコン-28の供給企業 ASP Isotopes
量子コンピュータの分野では、超伝導回路やイオントラップなどさまざまな方式が研究されています。その中でも「シリコン量子ビット」は、既存の半導体産業の技術を活用できる可能性があり、実用化への期待が大きい分野です。
このシリコン量子ビットの安定性を左右するのが、シリコン-28(Si-28) という同位体です。そして、この重要な素材の供給に挑む企業のひとつが、米国NASDAQ上場企業 ASP Isotopes(ASPI) です。
シリコン-28とは?
- シリコンにはいくつかの同位体がありますが、シリコン-29 や シリコン-30 は核スピンを持つため、量子ビットに雑音を与え、演算の精度を低下させます。
- 一方で シリコン-28(Si-28) は核スピンを持たないため、量子状態のコヒーレンスを長く保つことができます。
- そのため、シリコン-28を高純度で用いることは、半導体量子コンピュータ実現のカギとなっています。
ASP Isotopes の技術と役割
ASP Isotopes は独自の分離・濃縮技術を活用し、シリコン-28の安定供給を目指しています。
- ASP(Aerodynamic Separation Process) によって従来より効率的に同位体を分離。
- QE(Quantum Enrichment)技術 によるレーザー分離で高純度化を実現。
- 南アフリカでの生産拠点立ち上げにより、今後は商業規模でのSi-28供給を予定。
この供給体制が整えば、研究室レベルを超えて産業規模でのシリコン量子ビット開発が進む可能性があります。
半導体量子コンピュータの未来とASPIの位置づけ
世界の半導体メーカーや研究機関は、既存の半導体技術を生かした量子デバイス開発を進めています。しかし、その基盤となる「シリコン-28の確保」は長年の課題でした。ASP Isotopes は、この課題を解決する数少ない企業のひとつであり、半導体量子コンピュータ実現を下支えする素材産業の重要プレーヤーといえます。
まとめ
- シリコン-28は半導体量子コンピュータに不可欠な同位体。
- ASP Isotopes (NASDAQ: ASPI) は、その安定供給を可能にする技術と生産体制を構築中。
- 量子コンピュータ業界の注目はアルゴリズムやデバイスだけでなく、こうした「素材の確保」にも向けられており、ASP Isotopes はその文脈で重要な企業です。
👉 本記事は投資推奨ではなく、半導体量子コンピュータに関連する素材供給企業の紹介です。