量子コンピュータが量産フェーズへ
これまでの研究段階の量子コンピュータとは一線を画し、いよいよ本格的な商用活用を促進するための量産検討フェーズに入りました。この取り組みは、量子コンピューティング分野における大きな転換点となります。
実用化を加速する量産アプローチ
量産体制の核となるのは、既製品冷凍機の活用です。
測定・操作機器とともに量産されることで、コスト効率と安定供給が実現します。
ケーブル配線においても、現状では最低限の同軸ケーブルを搭載していますが、将来的には DC ケーブルへの統一を進め、調達の容易さと量産効率の向上を図ります。
同軸ケーブルを使わずDCケーブルで量子計算を行うという試みは半導体の仕組みと深く結びついており、量産化の鍵となっております。blueqat社ではこの量産技術をソフトウェア面からも進めています。
ハードウェア仕様の現状と進化
現在のシステムサイズはサーバーラック 1 台分で、消費電力は約 2 kW。
今後の開発では、サイズをハーフラックに縮小し、消費電力もさらに削減する計画が進行中です。
この小型化・省電力化は、設置場所の制約を減らし、より広範な導入を可能にします。
驚異的な量子ビット数の可能性
半導体ベースの量子ビット技術において、設計の最適化と制御系の熱処理が進めば、1 台のマシンで 100 万から 1 億もの量子ビットを搭載できる見込みです。この規模の量子ビット数は、現在の量子コンピュータと比較して桁違いの処理能力を意味します。
量産型が大型の量子コンピュータよりも性能が低いというわけではなくより集積化が進んだ結果としてより性能が格段に上がります。既存計算機が進んだ道と同じ方式を採用します。
グローバルな量産体制の構築
各国で量子コンピュータの量産に向けた準備が整いつつあり、弊社でも 3 年前から準備を進めてきました。
国内での組立工場の場所選定や輸送経路の最適化など、実用化に向けた具体的な検討が行われています。
機械学習を中心としたアプリケーション展開
主要な応用領域として機械学習用途を想定しています。
現状のマシンでは接続性やエラー率の問題から高精度なシミュレーションはまだ課題が残るため、比較的エラー耐性のある機械学習分野での活用が現実的です。
この量子コンピュータの商用化と量産体制の確立は、量子技術の民主化と幅広い産業への普及を加速させる重要なステップとなるでしょう。