近年、Web3の台頭により、分散型ネットワークの普及が進み、データの安全性やプライバシー保護がかつてないほど重要視されています。一方で、量子コンピュータの進展により、従来の暗号技術が脅かされるリスクが現実のものとなりつつあります。このような背景のもと、私たちは耐量子暗号（PQC）や量子暗号、そして**量子鍵配送（QKD）**といった分野の強化を進めていきます。
量子コンピュータがもたらす課題とチャンス
量子コンピュータの能力が実用レベルに到達すると、現在のRSAやECC（楕円曲線暗号）などの公開鍵暗号が短時間で破られる可能性があります。これにより、金融、医療、IoTなどあらゆる分野で使用されている暗号基盤が危機にさらされるだけでなく、Web3の分散型ネットワークにおいても重大なリスクが生じます。
しかし、量子技術は単なる課題にとどまりません。量子暗号やQKDは、量子の性質を活用して、従来技術では実現できなかった高度な安全性を提供します。これらの技術は、量子コンピュータの登場後もデータの完全性を保つ基盤として期待されています。
耐量子暗号（PQC）：ポスト量子時代のセキュリティ基盤
耐量子暗号（PQC: Post-Quantum Cryptography）は、量子コンピュータの攻撃に耐えることを目指した新しい暗号技術です。量子コンピュータに対する脆弱性に対応し、既存の通信プロトコルやシステムと互換性がある点が特徴です。
私たちは、次世代暗号基盤としての耐量子暗号技術を積極的に導入し、以下のような分野での応用を強化します：
- ブロックチェーン：耐量子暗号を採用したスマートコントラクトの実装。
- 分散型金融（DeFi）：量子コンピュータ時代でも安全なトランザクションを実現。
- IoTセキュリティ：耐量子暗号技術を活用したデバイス間通信の暗号化。
量子暗号と量子鍵配送（QKD）：究極のセキュリティへ
量子暗号は、量子力学の基本原理に基づいてデータの安全性を確保する技術で、特に**量子鍵配送（QKD）**が注目されています。QKDは、盗聴されるとその事実が検知できる性質を持ち、盗聴耐性のある安全な鍵配送を実現します。
QKD技術の応用分野として、以下が挙げられます：
- 政府や軍事機関：国家機密の安全な通信を量子技術で強化。
- 金融ネットワーク：グローバルな銀行間取引における最高レベルのセキュリティを実現。
- Web3プロトコル：分散型ネットワークにおける通信セキュリティの革新。
Web3と量子技術の融合
Web3は、ブロックチェーンや分散型台帳技術（DLT）に基づく次世代のインターネットです。この新しいインターネットの基盤を量子技術で補強することは、未来のデータ社会において欠かせない要素となります。
私たちは以下の方向性で取り組みを強化します：
- Web3対応の耐量子暗号技術の導入と標準化。
- QKDネットワークを活用した分散型データ通信のセキュリティ向上。
- 量子コンピュータの計算能力を活かした新しいスマートコントラクトの開発。
未来に向けて：量子時代のセキュリティを目指して
量子コンピュータの進化とWeb3の普及が交差する時代において、データの安全性を確保することは最優先課題です。耐量子暗号や量子暗号、QKD技術の導入を通じて、私たちはこれからも量子時代に対応したセキュリティ基盤の構築を目指します。
分散型社会と量子技術の融合は、従来のインターネットを超えた新しい可能性を切り開く鍵となります。私たちはこの進化を牽引し、安全で信頼できる未来のデータ社会の実現に貢献していきます。
ソフトウェア面では、新しく設立したQuantum Financial Innovationsと連携をします。
Web3 × 量子技術 = 新時代のセキュリティ革命