こんにちは、本格的に量子ドットマシンを作ることになりましたが、まったくわかってないので少しずつ勉強しています。
モチベーションとしては超伝導が小型化が難しいということで、小型化ができる量子ドットをやるわけですが、FTQC時代ということもあり、量子誤り訂正搭載型の半導体量子ドットマシンを目指して開発をする必要があります。
参考資料
VLSI夏の学校:LSI技術者のための量⼦コンピューティング講座
半導体産業や専用測定装置
Intel社は2015年からオランダのデルフト工科大学と組んで大型のプロジェクトを開始しており、シリコン型量子ビットの研究開発を進めています。
半導体産業側としては、スイスのSTMicro、フランスのLETI、ベルギーのIMECなどが取り掛かっています。
Intel社はフィンランドのbluefors社やAfore社とともにCryogenic Wafer Proberと呼ばれる300mmウェハ対応の低温測定装置を開発しています。
インテル、量子コンピューティングの開発加速へ--「Cryogenic Wafer Prober」発表
https://japan.zdnet.com/article/35133528/
シリコン量子ビットの素子サイズは数十nm程度で集積度もGBitレベルで増やせます。動作温度が1K程度での動作が一般的ですが、現状の集積数はまだ2,3量子ビットでビット間の結合もまだまだ課題のようです。
半導体量子ビットのその他のプレイヤー
現在半導体量子ビットに進出するプレイヤーは増え続けています。上記のSTMicro、LETI、IMECに加えて、Intel、IBM、TSMC、日本では日立製作所、アイルランドと米国のEqual1 lab、オーストラリアのSilicon Quantum Computingなどがあります。
電荷型とスピンビット
上記Equal1 labは電荷型量子ビットと呼ばれる2つの量子ドットを連結し、電子の位置で01を表現するものを開発しています。現在の素子設計や回路との親和性が高く、実用化が近いと思われますが、超伝導における量子アニーリングのような立ち位置で、本命視されているのはコヒーレンスタイムが長い一方で実用化が困難なスピン量子ビットとなっていて、電子の位置ではなく、スピンの上下で01表現を行います。これまでの量子ゲートの流れを見る限りはスピンを利用した計算のほうが難易度は高いものの有望視されていると思いますので、こちらを採用します。
量子ドット
上記スピン量子ビットを実現するための量子ドットは、電子を三次元で閉じ込め、エネルギー準位が離散的になるようにします。
クーロンブロッケード
クーロンブロッケード(くーろんぶろっけーど、Coulomb blockade, CB)とは、接合容量が低いトンネル接合を一つ以上含むような電子素子において、バイアス電圧が小さい時に電気抵抗が増大する現象である。 その名はシャルル・ド・クーロン (Charles-Augustin de Coulomb) にちなむ。
スピン量子ビット
量子ドットでのスピン量子ビットは電子のスピンを利用する。電子は自転のようなもので回転して磁力の方向性を持っていて、外部の磁場ない時には縮退していて、外部磁場がかかると分裂をする。
電子が量子ドットで閉じ込められた状態で、外部から磁場をかけることでスピンがゼーマン分離によって二つに分離する。片方を0、もう片方を1として利用することで計算に応用することができる。このスピンの操作はマイクロ波を当てることで操作することができ、ゲート演算に対応する。
VLSI夏の学校:LSI技術者のための量⼦コンピューティング講座より
分裂時のエネルギー差はΔE = gμB、g因子、ボーア磁子μ、磁場B
ラーモア歳差運動
スピンが斜めを向いているときにスピンが位相方向に歳差運動
ラーモア歳差運動
ラーモア歳差運動(ラーモアさいさうんどう、英語: Larmor precession)は、物理学において、電子・原子核・原子などの粒子の持つ磁気モーメントが外部磁場によって歳差運動を起こす現象である。ジョゼフ・ラーモアにちなんで名づけられた。
ラビ振動
上記の縦磁場に直交した交流磁場をかけることでスピンが01間を周期的に振動
ラビ振動については英語のwikipediaに説明があるので、別の機会で確認します。
https://en.wikipedia.org/wiki/Rabi_cycle
量子ゲート操作
上記の2軸の回転操作を利用して量子ビットをブロッホ球操作に対応させることで計算を行う。
まとめ
電子を利用した量子コンピュータは比較的動作原理は単純でわかりやすいものでした。
今後実現に向けて複数量子ビットの相互作用が主に課題となりそうですが、開発に邁進してみたいと思います。