2025年3月期 事業報告書
blueqat株式会社
代表取締役 湊雄一郎
1. ご挨拶と総括
2025年3月期を振り返り、当社はこれまでの受託中心のビジネスモデルから、大きな転換期を迎えました。多くの大手企業から高い評価をいただき、多数の受託案件を遂行してまいりました。
しかしながら、ChatGPTをはじめとした生成AIの急速な台頭により、ソフトウェア受託業務の市場ニーズは大幅に変化し、受託需要が急減する予想となりました。
これを受けて、当社は先手を打ち、資産計上可能な形でのクラウドインフラへの移行を進めました。その過程でThreadripperやNVIDIA 6000 ADA、H100などの高性能マシンを段階的に導入し、物流面でご支援いただいた株主様の協力のもと、自社サーバールームを開設し、数十台規模のクラウド運用体制を確立いたしました。
2. 補助事業および外部委託との関係
本年度は国プロを受けましたが、自社設備の使用が制限されているため、Equinixのデータセンターおよび貸出マシンでの対応となり、自社に対する資産的な貢献は限定的です。今後は、株主様の協力のもと、収益性と自社活用の両立を目指します。
3. 事業構造の転換と展開
開発済みのソフトウェア技術とクラウド基盤を活かし、今後はクラウドおよびサービスアプリの販売を主軸に展開してまいります。
過去にはクライアント様と協働し、ヒット製品を生み出しましたが、現在は契約終了となっており、今後は量子コンピュータを活用した新たな企業支援モデルの確立に注力していきます。
4. 量子ハードウェアの開発と実績
半導体分野
当社主導で進行中の**量子コンピュータ用ロジック半導体チップ開発(7nm / 22nm)**は、各社協業のもと、2025年度末の初回テープアウトを予定しています。
冷凍機開発
第一号機の試験を完了。第二号機は「マイクロ波フリー&磁石レス」の新方式を採用し、データセンター向けサーバーラック型として開発中です。秋の展示会ではモックアップ、年末のセミコン展示会では実機発表を予定しています。
5. 自社メディアと配信技術の自動化
- 自社Webサイトは2025年6月時点で月間1.4万人のアクティブユーザー、表示回数5.6万回。
- X(旧Twitter):会社公式6,600人、湊個人15,000人超。
- YouTube:登録者数1万人突破。
ブログやYouTubeにおいては、テーマ自動生成・音声合成・動画自動生成による配信システムを自社開発し、パフォーマンスも良好。今後は四半期ごとの詳細なデータ報告を予定しています。
6. 国・自治体との連携と公共事業の展望
Q-Starの活動ではWBSでの取材対象に選出されました。
経産省案件(G-Quat等)の展開も期待され、政府系プロジェクトが増加傾向にあります。
地方自治体との協力も活発化しており、以下の地域で連携中または計画中です:
- 札幌市:量子・半導体事業
- 熊本市:半導体関連
- 愛媛県、大分県、岐阜県:量子とクラウド技術の導入支援
これらはすべて、当社クラウドサービスの普及促進に向けた動線として位置づけられています。
7. セキュリティ・設備体制と今後の課題
クラウドサービスの提供拡大に伴い、セキュリティ強化とサポート体制の拡充が必須です。サーバー設備の更新計画とあわせて、2026年には自社量子チップを冷凍機二号機に搭載し、データセンターへ正式配備する予定です。
- 資金調達と体制整備
株主様のご支援により資金調達に成功。
長年ご支援いただいき監査役も長年勤められたABCファイナンスの石原様(ご高齢により退任)より、株主構成が大幅に変更されました。
税理士の先生をはじめとした体制整備により、社内の正常化が進行中です。
過年度決算書も全て提出完了、未登記事項の解消も進行中。
- おわりに
受託からサービス提供主体への変革期にある今、これまで培った技術力と実績をベースに、量子・半導体・クラウド・自動配信といった次世代の成長領域に注力し、持続可能かつ利益の出る企業体質への進化を目指します。
ステークホルダーの皆様におかれましては、引き続き温かいご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。