量子コンピュータの計算は現在低迷しており、ビジネス向けではあまり用途がなく困っています。全世界中で量子関連のソフトウェアの仕事がなくなっているようで、機械学習に転職する人や仕事がないので生き残っている量子企業に転職するなどの話を全世界で聞くようになってきました。
量子アニーリングは厳しく、量子ゲートもNISQが厳しいが、まだ本格的な量子コンピュータも出てきていないので、あまりやることがない。実はこの事態は2021年ごろから起きていましたが、国内はなんかこれから国産の盛り上がりに隠れてなかなか顕在化しなかったのが、最近少し落ち着いてきたところで一気に顕在化してきた気がします。
弊社はこの事態に対して数年前からテンソルネットワークに取り掛かってきましたが、テンソルネットワークについて成果が出てきたので、興味を持ってもらって仕事にしてもある程度やっていけるのではないかということで紹介をしたいと思います。
欧州のメガベンチャーterra quantumやmultiverse、米国のzapataなどもテンソルネットワークにピボットをしているところも多いです。
量子計算ともニューラルネットワークとも相性がいいため、テンソルネットワークは「機械学習のテンソルネットワーク」と「量子計算のテンソルネットワーク」の二つがあると言われていますが、みている限り機械学習より量子の方がやっぱりテンソルネットワークは盛んな気がします。
テンソルネットワークは、テンソルをネットワークに繋げて表現をします。テンソルはベクトルや行列など、数字の塊を一般化した呼び方です。そのテンソルをネットワークにして問題を表現し、それを解くことで計算ができます。
計算をする際には、分解と縮約があり、これらを利用することでさまざまな計算を行うことができます。
私たちがテンソルネットワークを利用する際には、量子側として量子回路のシミュレーションを行ったりもしますが、基本的には現在需要のある機械学習に対してテンソルネットワークを利用することで給料が上がります。目安として量子関連の職種の給料が年収600万程度に対して、ニューラルネットワーク関連はそれ以上最大で、2倍から2.5倍くらいはいきそうな勢いです。ということで社内でもテンソルネットワークを利用した機械学習が盛んで人気になってきました。
現在社員として入社してきた海外のメンバーもやはり量子は現状では限界があるため、テンソルネットワークと機械学習を利用して計算を行うところに魅力を感じている人が多いです。
テンソルネットワークで利用するツールは、さまざまですが、私たちはPyTorchを利用しています。PyTorchにはテンソルネットワークを利用できる機能が搭載されており、ニューラルネットワークを利用しようとする際には、テンソルネットワークのツールを使うよりもPyTorchを直接使った方が簡単であるため、数理が強い場合にはツールは通常のディープラーニングツールを使います。iTensorやcuTensorNetなどもありますが、現状ではやはりPyTorchを使うのが良いと思います。入社してきたテンソルネットワークのメンバーもPyTorchを使っているようです。
おすすめの記事は、
行列積演算子によるニューラルネットワークの圧縮の実装
https://qiita.com/kazuo_watanabe/items/fb0ede6ad167700a3656
まぁ、もう何もいうことはありません。
弊社の最近の事例として、
博報堂DYホールディングス/blueqat、テンソルネットワーク技術を用いてNeRFモデルの圧縮を実証。SQAI-NCTS 国際ワークショップにて発表。
https://blueqat.com/blueqat_official_news_ja/0233c282-1f78-447a-ac5f-bc4727e33857
となっています。
今後も事例はどんどん増える予定となっていますが、数年前からの積み上げがあり、テンソルネットワークは量子計算に比べるとだいぶうまくいっているので、ニューラルネットワークと量子計算の間をとる活動はしばらく続ける予定です。
具体的な概要については下記をご覧ください。基本的にはニューラルネットワークの重たいところを軽量高速化する技術です。
深層学習(ディープラーニング)モデルのパラメータ圧縮を通じた軽量化・高速化・エッジ化サービス
https://blueqat.com/blueqat_official_news_ja/e59e6a84-7a5e-4fb9-89be-e59c3eac5ddf