新規事業って結構社員からしたらリスクがあるし、成功する確率が低いのに成功しても成果があまり認められない。その割にうまくいかなかったら苦労を押し付けられて成果を求められるというのがあると思います。特に量子コンピュータは分かりづらいし、いう通りにやってもうまくいかず、でもなんか他社の成功したみたいなニュースが出るのでやめられない。上層部からはやれと言われてどうすればいいかわからないところに、ベンチャーや大手からつけ込まれて製品を売らさせるという構図になっています。その根本は先行して開発したベンチャーや大手企業も使い物にならない製品を作ってしまったので、なんとか売るしかないという歪な状況があります。
理想的には、
1、量子コンピュータはまだ将来的なものなので時間をかけて基礎研究をする
2、投資した分はどのような形でもいいのですぐに回収もしくは事業化をしたい
だと多います。
特に量子ゲートは思ったよりも計算が将来的で時間がかかりそうなので、最低限の研究や人材育成は必須で細々やる。量子アニーリングも実機は厳しそうなので、擬似量子でなんとか繋ぐということだと思います。
今おすすめのベストプラクティスは、
1、研究開発部では量子ゲートで量子コンピュータの基礎を学び量子人材育成
2、事業部では擬似量子で実際の問題をとく。しかしリリースは慎重にしないと炎上しがち。
です。研究開発部と事業部をきちんと分けてツールを使うのがいいと思います。弊社では研究開発と事業部の中間あたりをやることも多いのですが、その際に役立つGPUを使っているのですが、宣伝ぽくなるので今回は告知しないようにします。
数年前は企業も手探りでしたので、量子アニーリングに期待したり、量子ゲートに期待したりという感じで、情報もなかったので色々なところを頼り研究開発をしていましたが、最近かなり風向きが変わってきました。
1、量子ゲートの実用化はかなり遠い。研究開発としても厳しい。
2、量子アニーリングの実機は難しいので擬似量子で成果を出すしかない。
特に、これまで必要だった上層部への量子の実用化の報告が一段落したり、さまざまなツールを使って実証が終わり、論文と実際の利用の間の乖離をだいぶ把握してきたというのもあります。
日本はこれくらいで済んでますが、海外はかなり激しいです。
超伝導量子コンピュータの競争は結構激しく、中国の本原量子やBaiduなどが提供を開始する一方、米国のRigettiやカナダのD-Waveは収益面で大きく価値を毀損し、株式市場に上場した金額の1/10になっています。唯一IonQだけが精力的な計画を発表していて株価が持ち直してきており、毀損額も半分程度まで持ち直しています。
1、超伝導は完全にレッドオーシャン。利用料もかなり下がっている。
2、イオントラップや中性原子、光量子などの新方式が勢いを増している。
実際にユニコーンとなったXanaduとD-Waveでは同じカナダの量子コンピュータ企業としても株価に10倍の差がついています。
結局世界中で量子コンピュータの開発はしないといけないので、どんどん新しい技術が登場し急速に新陳代謝が進んでいます。そして、日本と同様で量子コンピュータのビジネス応用は厳しいということが知れ渡り、新しい技術へとどんどんシフトしていて、イオントラップや中性原子の方に企業もトレンドを変えています。
量子コンピュータに対する投資の回収という観点では海外も相当厳しい目を持っているので、今後基礎研究にどれだけ費やすのか、ビジネスとしての応用面にどれだけ期待するのかかなり厳しい状況となっていて、現在加速度的に進む投資はそれら次の展開を狙った投資となっていて、既存の量子技術はほぼ諦められているように見えます。
日本の企業も次の量子技術をウォッチして適切な投資が必要になる時期に入ったと思います。以上です。