ここでは、量子コンピュータのアプリケーション開発に近年欠かせなくなってきているテンソルネットワークを利用したアプリケーション開発のベンチマークを紹介します。
今回は、53量子ビットのQAOAと呼ばれる組合せ最適化問題を解くための問題のベンチマークです。MAXCUT問題を解いています。
今回実装したのは、
MAXCUT問題
53量子ビット
QAOA
random-3-regularという構造
実装の際に利用したソフトウェアは、
quimb
cotenga
jax
となっています。ソフトウェアが最適化されていない可能性もありますので、今後の量子ゲート型量子コンピュータのソフトウェア開発の参考にしてもらえればと思います。
今回計算を比較したのは、
CPU
GPU
での実装となります。一般的にGPUを利用すると量子コンピュータのシミュレーションは高速になります。cuStateVecを利用した量子コンピュータのシミュレーションでは、明らかに高速になっているのがわかります。CPUとV100GPUで状態ベクトルシミュレータと呼ばれるものを比較した場合、100倍以上の高速化を実現しています。
今回はそれとは異なる次世代型の新しいテンソルネットワークシミュレータのベンチマークをいち早くお届けします。計算結果は、
となりました。確かに多少は速くなっていますが、cuStateVecのような極度の高速化とはいかず、30%程度の高速化となっています。今回はソフトウェアはquimb+cotengra+jaxを利用しました。
また、予備調査でNVIDIA A100 GPU *8枚構成のマルチGPU環境でも同様の計算を行いましたが、あまり実行速度は変わりませんでした。
今後はより量子コンピュータのアプリケーションやシミュレータにGPUを最適化することで高速化が実現できるかもしれません。引き続きcuQuantumを利用するなど、実用的な量子コンピュータのアプリ開発に向けてベンチマークを公開してまいります。
以上です。