こんにちは、最近忙しくていろんなメディアに登場している湊です。誰かほかの人のほうがいい気もしますが、がんばります。
さて、日経新聞で米中の量子コンピュータ競争でコメントした通り新しいトレンドの波が来ていてだいぶ整理され始めています。まだ過渡期中なので決まっていないことも多いですが、いくつか確認してみたいと思います。
ハードウェアはイオントラップが世界を席巻
ハードウェアは完全にイオントラップが注目の的です。米国のIonQはニューヨーク証券取引所に上場、そしてその後を追うように、ハネウェルはイギリスのCQCと合併をしてスタートアップとして上場を行う予定となっており、RigettiやD-Waveなどが果たせなかったハードウェアメーカーでの上場を次々と果たしています。イオントラップの強みは精度、そして誤り訂正に必要な量子ビットが少ない、小型化が急速に進んでいるというところであり、最近では欧州のAQTが19インチサーバーラック型の小型量子コンピュータ24量子ビット全結合マシンを発表しています。このようにIonQ、ハネウェル、AQTが飛躍しています。
https://japan.cnet.com/article/35171818/
https://japan.zdnet.com/article/35172058/
https://physics.aps.org/articles/v14/s73
そして最近ではシリコン型も注目を浴び始めています。こちらはTSMCやインテルなどがとりかかっていますが、グローバルファウンダリーズも最近よく聞きます。
https://www.hitachi.com/rev/archive/2019/r2019_04/04c03/index.html
光量子コンピュータもありますが、そちらはソフトウェアと同時に発展が必要なのとちょっと規模が小さいので直近で界隈では話題になっています。全体的な勢いはちょっと足りないので、工夫が必要です。
ソフトウェアはFTQCへ
ソフトウェアはやはりNISQ(エラーありの小規模量子コンピュータ)が厳しかったということもあり、全体的にFTQC(誤り訂正付き量子コンピュータ)向けへ向かっています。量子化学計算はVQE(変分固有値ソルバー)からQPE(量子位相推定)へ。金融計算はもともとFTQC向けですが、それを近年のマシンで動くようなものに改造をして、QAE(量子振幅推定)が話題となっています。最適化計算は相変わらず厳しいですが、その代わりに機械学習関連が盛り上がっています。今後はハードウェア各社がFTQC向けのハードウェア製造をアナウンスしていますので、必然的にソフトウェアも中長期的なFTQC向けに移行しつつあります。ただ、以前のNISQ向けもまだまだあるので、過渡期ということで切り替えが少しずつ進んでいます。
プレイヤー
世界中のプレイヤーは、トレンドが、第一世代の量子アニーリング、第二世代の量子ゲートNISQ、そして最新の第三世代の量子ゲートFTQCとあり、技術発展が急激で、システムや開発の入れ替え、技術の高速な変遷、応用分野の急激な変化などあり、体力がある会社を中心に生き残りが難しくなってきていて、撤退と参入が相次いでいます。
まだまだ最新の量子ゲートFTQC向けに切り替えられている企業は世界中でもわずかなので、今後NISQからFTQCへ移行できるのかどうか、企業の体力が問われる時期が1年ほど続きそうです。それでも移行は予想よりも速く進んでいるように思えますので、頑張ってトレンドについていけるようにがんばりましょう。以上です。