量子コンピュータの種類と役割分担が明確に
量子コンピュータには主に5種類の方式が存在しますが、それぞれの特性に応じた役割分担が始まっています。光量子方式は独自の安定性を持つ一方、残りの4種類では興味深い競争と役割分担が進んでいます。
イオントラップと中性原子:高精度が強み
「高性能イオン・原子系」と呼ばれるイオントラップと中性原子方式の量子コンピュータには共通する特徴があります:
- 少ない量子ビット数でも高精度な計算が可能
- 自然界のイオンや原子を量子ビットとして直接利用
- 物理的な揺らぎが少なく安定性が高い
これらの特性により、精度の高さが求められる量子化学計算分野で特に注目を集めています。
実際に、quemixがHondaと取り組んでいるプロジェクトや、三井物産がQusimulateおよびQuantinuumと進めている取り組みも、こうした高精度量子計算の特性を活かしたものと考えられます。
超伝導と半導体:新たな応用領域の開拓が必要
一方、超伝導方式と半導体方式の量子コンピュータは:
- 量子ビット間の接続性に制限がある
- エラー率が比較的高い
これらの課題から、高精度を要する量子化学計算には現状不向きとされています。
しかし、これらの方式には独自の強みもあるため、量子化学以外の応用分野を積極的に開拓していく必要があるでしょう。
量子コンピュータ技術の発展とともに、各方式の特性を活かした応用分野の棲み分けがさらに進んでいくことが予想されます。