[論文レビュー]リアルタイムでのフォールトトレラント量子エラー訂正の実現(ハネウェル10量子ビットマシン)

量子コンピュータ業界は次のフェーズに入っています。2012年からの量子アニーリング、2015年ごろからの量子ゲートのNISQ時代に続いて、次は量子ゲートのFTQCと呼ばれる誤り耐性付きの量子コンピュータの実現とそれに対応したアプリケーションの追求です。


今回は、

Realization of real-time fault-tolerant quantum error correction

C. Ryan-Anderson, J. G. Bohnet, K. Lee, D. Gresh, A. Hankin, J. P. Gaebler, D. Francois, A. Chernoguzov, D. Lucchetti, N. C. Brown, T. M. Gatterman, S. K. Halit, K. Gilmore, J. Gerber, B. Neyenhuis, D. Hayes, and R. P. Stutz1

1Honeywell Quantum Solutions, Broomfield, CO (Dated: July 16, 2021) 


https://arxiv.org/pdf/2107.07505.pdf


の概要を把握します。


NISQと呼ばれる小規模の量子コンピュータではエラーが多く計算ができませんでした。そのために今後は大規模な量子コンピュータを実現するため、そしてエラーの少ない量子ビットを作るために量子誤り訂正技術が必須となりました。


量子誤り訂正は量子コンピュータのエラーによって間違える計算を診断、修正しながら計算をします。そのためには、多くの物理的な量子ビットを使ってエラーの少ない論理的な量子ビットを作る必要があり、多くの物理量子ビットから少ない論理量子ビットを作ります。


今回ハネウェル社はこれまで、この量子誤り訂正のプロセスは理論的には世界中で提案されてはいたものの、リアルタイムにそれを実行されていなかったものを、リアルタイムに10量子ビットのQCCDイオントラップ量子コンピュータを使って量子誤り訂正のサイクルを実装して実証をしました。


量子誤り訂正をするには、ある程度質の良い論理量子ビットを準備し、ほかの量子ビットになるべく影響を与えないように部分的に結果を測定し、それを古典コンピュータで解析し、診断をしてエラーを特定したうえに、それをフィードバックをかけて直す必要があります。


量子誤り訂正の手法は数々提案されていますが、今回ハネウェルは比較的実現しやすいカラーコードという手法を使って10量子ビットの誤り訂正をしています。7量子ビットを演算に使い、3量子ビットを測定に使います。


今回実現したのはとてもシンプルな1論理量子ビットの量子誤り訂正です。量子誤り訂正を使って大規模マシンを実現するにはエラーがエラーを誘発することのない耐障害性を持つ必要があり、今回はこの耐障害性を意識して実装がされています。



引用:https://arxiv.org/pdf/2107.07505.pdf


誤り訂正の実現は遠い未来のように言われていましたが、2021年現在を見る限りではかなり想定よりも近づいているように見えます。今後は技術的な内容を少しずつフォローしながら新しいアルゴリズムや従来アルゴリズムなどもフォローしていきたいと思います。以上です。

Yuichiro Minato
blueqat CEO/CTO 2015年総務省異能vation最終採択 2017年内閣府ImPACTプロジェクトPM補佐 2019年文科省さきがけ量子情報処理領域アドバイザー
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Yuichiro Minato
blueqat CEO/CTO 2015年総務省異能vation最終採択 2017年内閣府ImPACTプロジェクトPM補佐 2019年文科省さきがけ量子情報処理領域アドバイザー
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