最近全世界から学生アルバイトや採用の問い合わせが多く来ていますので、これまでの会社の運営と今後の量子コンピュータ業界の動向含めて、希望者向けに書いておきます。
競争は激しい
現在量子コンピュータ業界の競争は激しいです。私たちの生活を見ていても、スマートフォンはapple製で、slackやwindows、amazonなど海外のサービスや製品を使うことが多いように、プロダクトやサービスは国を越えて普及する時代です。量子コンピュータも同様で、基本的にクラウド経由でのマシン提供なので、最初から世界を相手にしないとすぐにサービスやプロダクトが陳腐化してしまいます。特に量子コンピュータ業界はまだまだこれからで半年前の情報やサービスが古くなることも多いです。
研究と事業の両立は厳しい
競争も激しいので、新規の開発と事業化を同時に行う必要があります。これは全世界同じです。どこの会社でもこの部分は苦労をしています。また、基礎研究と異なり、ユーザーや事業という形で外部に常にコミュニケーションを取る必要がありますので、自分の考え方が通用しませんし、時間が十分に取れないことも多いです。研究という形でじっくり取り組みたい方でも、十分な時間の確保ができない場合には先端研究は厳しいと思います。両立は厳しいため、今後研究は当面大学・研究所で、事業は会社でというスタンスになります。
研究は大学や研究室で
量子コンピュータの活用範囲が広がり、ハードウェアの種類や目的が多様化する中で研究も参入者が増えて難易度がどんどん上がっています。ですので、とりあえず会社の片手間で、かつblueqatのような小さなベンチャー企業で有意義な研究をすることは厳しいと思いますので、大学との連携が必須になります。今後は主に東京大学との連携を通じて、IBM社のマシンやその他さまざまな量子コンピュータを活用しながら進めていきます。
アルバイトでもそれなりの技術を要する
アルバイトやインターンの希望者が増えていますが、それなりの技術を有します。アルバイトインターンで主なのは、チュートリアルの作成やその他など基本的な内容ですが、外部に公開がされますので、それなりの技術を有します。
tensorflow quantum
tensor network
blueqat
photonqat
julia
この辺りはキーワードとして需要が高まっています。
採用は難易度上昇、初任給は下がっている、伸びる人は増える
世界中からの採用希望が来ていますので、人気が高まり採用は難易度が上昇しています。弊社でも日々採用基準がアップデートされています。また、希望者が多いため、初任給は低下傾向です。事業化も同時に進んでいるため、事業化に貢献する人の給料は伸びています。研究でもめざましい研究などがある人は増加傾向です。
粘り強さ・自己管理が重要
業界全体で人材の流出入は激しいです。周りでも撤退したり参入したりが日々見られます。方式やマシンも入れ替わりが激しいですし、開発言語そのものが変更になることもあります。メンタル面の自己管理など一番難しい部分を乗り越えながら、その上で学習と実装をしなくてはいけないというのはかなり厳しいものになっています。そうしたものを乗り越えて実力を発揮できるようになってこそ、世界でやっていけますので、ぜひ頑張ってください。
英語とコミュニケーションも重要
言語は大事です。英語は必須です。英語での読み書きやヒアリングが苦手な人も多いと思います(自分もそうです)が、個人の苦手得意は関係ありません。英語でのコミュニケーション、周りとの議論は必須ですので、必ず身につけるようにしましょう。
国内外の有名教授クラスとの議論が発生する
量子コンピュータ業界できちんと活躍できる人や企業は限られています。優秀で才能や実力があるとわかるとすぐにお声がかかります。国内外で教授レベルと実務で議論を交わすこともしばしばあります。物おじせずにどんどん積極的に関わるのが唯一の成功への道です。
今後は量子ビット、量子モードの知識が必要
量子ビットを利用した計算だけでなく、今後は光マシンの知識も必要になってきます。基礎知識をつけて、偏りのないように普遍的な実力をつけられるようお願いします。純粋に給与ややりがいだけでは評価できない領域に入ってきました。自分の価値観と照らし合わせてやってみてください。では、頑張ってください。