半導体を利用した量子コンピュータの開発が、いま世界的に加速しています。特徴は、特別な同軸ケーブルや複雑な配線、高価な冷却機器などを必要としないデジタル式制御を採用している点です。
この方式の理論提案は2000年ごろに行われましたが、四半世紀を経た現在、再び脚光を浴びています。この技術は「シングレットトリプレット量子ビット」などと呼ばれ、2030年までに100万量子ビットの実現を目指し、世界各国で開発競争が繰り広げられています。
最も先行しているのは米国ですが、近年は欧州やアジアでも研究開発が急速に進展し、次世代量子コンピュータの主導権争いは激化しています。米国のリサーチ会社による予測では、この半導体量子コンピュータが近い将来、超伝導方式などを抑えて最大のシェアを獲得するとされ、その理由としてインフラの簡素化が挙げられています。
半導体ベースの量子コンピュータでは、特殊ケーブルの削減や高価な素材の不要化が可能であり、既存の半導体量産設備を活用できるため、量産化の道筋が明確です。基礎研究の進展を受け、各国では量産体制の検討と同時に、覇権争いがいよいよ本格化しています。