量子コンピュータ研究の迷走:技術選択と目標の不一致
量子コンピュータ開発における矛盾
現在の量子コンピュータ開発の世界では、使用するソフトウェア、目指す事業化、そして利用するハードウェアの間に大きな不一致が見られることが多い。これは研究の方向性を曖昧にし、効率的な進歩を妨げる要因となっている。
先日東大で、イベントに参加してきて、
東京大学の松下先生の取り掛かっているソフトウェアの方針とハードウェアの選択が非常に合理的、かつソフトウェア自体の完成度や作り込みがとても感激レベルで素晴らしかったので、さらに最近の目標を失った量子業界の課題に対して疑問が増幅してしまった。
ハードウェア選択の重要性
量子化学計算を効果的に行うためには、イオントラップもしくは中性原子を用いたアプローチが適していると考えられる。一方で、耐障害性量子コンピュータ(FTQC)の実現を目指すなら、現状の超伝導や半導体ベースの技術では限界があるように思われる。
理由としては以下が挙げられる:
- 超伝導や半導体方式では量子ビット間の接続が弱い
- 誤り訂正技術の開発が他の方式に比べて遅れている
- フィデリティ(量子状態の忠実度)の観点では、イオンや原子を用いた方式と比較にならないほど劣っている
研究資金獲得と技術的整合性の乖離
問題なのは、多くの研究プロジェクトがこうした技術的な整合性よりも、マーケティング活動や予算獲得を優先していることである。結果として、目標と手段が一致しない支離滅裂な研究活動が散見される。
量子コンピュータ技術の真の進歩のためには、各ハードウェア方式の特性を正確に理解し、目的に合った技術選択を行うことが不可欠だろう。短期的な資金獲得よりも、長期的な技術発展の視点に立った研究アプローチが求められている。