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量子計算×暗号資産:QUBOで挑む90日データのポートフォリオ最適化と自動売買の実証

Yuichiro Minato

2025/05/05 04:00

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量子計算をどのように実用化していくか——。その問いに対する一つの答えとして、今回は暗号資産のポートフォリオ最適化に取り組みました。特に、過去90日間の市場データを使い、量子計算と相性の良い「共分散行列」をベースにポートフォリオを組成し、自動売買まで実装するところまで進めています。

よくある事例ですが、実際にお金をかけて行うことでより実践的な計算を追求できます。

■ 90日間の価格データ×共分散行列=QUBOに落とし込む

まず、主要な暗号資産(ビットコイン、イーサリアムなど)の90日間の価格データを取引所のAPIから自動で収集。そこから共分散行列を計算します。これは各資産の価格変動の相関を表したもので、伝統的な金融工学でもリスク分析の基礎となる指標です。

そして驚くべきことに、この共分散行列は量子計算で使われるQUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)形式に自然にマッピングされます。つまり、量子計算の力を借りてリスク最小化・リターン最大化を目指す最適ポートフォリオを効率的に探索できるのです。

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■ リスクリターンの「常識」に縛られない暗号資産市場

相場全体が同じ方向に大きく動く「協調性」があり、それを逆手に取ることでリスクを減らしても高リターンを得られる組み合わせが見つかる可能性があるのです。

これは、量子計算が得意とする複雑な組み合わせ最適化の世界に非常にマッチしています。

■ 自動売買システムとの連携

今回のPoCでは、ポートフォリオ構築だけにとどまらず、実際に取引所APIと接続し、自動売買できる環境も整備しました。QUBOで導いたポートフォリオ配分を基に、自動で売買の判断を下すようにしています。

ただし、現実の取引では取引手数料やスリッページといったコスト要素が無視できません。理論的に最適でも、利益が保証されるわけではないのがこの世界の難しさです。

■ 慎重かつ大胆に。PoCでも“実弾”が動く

PoC(概念実証)とはいえ、実際に暗号資産という“リアルなお金”を動かしています。そのため、安易な実験はできません。ですが、裏を返せば、**「仮説をもとに、実際の市場でどこまで戦えるのか」**を量子計算の力で試す、またとない機会でもあります。

もちろん、ポートフォリオ最適化だけで安定的な利益が得られるほど甘くはないと感じています。そのためにも、複数の計算手法を組み合わせて、より堅牢なアルゴリズムを構築していく必要があると考えています。

■ 中長期運用の新たな選択肢として

90日間のデータに基づく今回のアプローチは、短期トレードではなく中長期の運用に最適です。データサイエンス・量子アルゴリズム・自動売買という複数の技術領域を融合させたこの試みは、今後の金融工学の一つの方向性を示すものになるかもしれません。

量子計算と暗号資産の融合は、まだ始まったばかりです。今後も実験を積み重ねながら、技術と市場の両面からこの領域を深掘りしていきます。

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