量子コンピュータを用いた金融計算の研究は大きく分けて、量子振幅推定と離散最適化問題になります。
参考
最近の金融計算のリストです。
ポートフォリオリバランシング
コモンウェルスバンク
QAOA
https://arxiv.org/pdf/1911.05296.pdf |
ハネウェル量子オラクル
JPモルガンチェース
QAE
https://arxiv.org/pdf/2006.10656.pdf
オプション価格
JPモルガンチェース
QAE
https://arxiv.org/pdf/1905.02666.pdf
MBO最適化
バークレイズ
QAOA
https://arxiv.org/pdf/1910.05788.pdf
QAE without QFT
MUFG/みずほ
QAE
https://arxiv.org/abs/2006.16223
最適化計算
量子コンピュータでいう最適化計算は主に離散最適化、組合せ最適化を指します。複数の答えの組合せを計算で求めます。
QAOA
基本的にはQAOAという量子アニーリングをデジタル実装したものです。
また、最近では初期ハミルトニアンに量子もつれを導入することで、ハード制約を実現するテクニックもあり、コモンウェルスバンクで利用されています。
最適化問題には大きな差はない
基本的には離散最適化のアルゴリズムに今のところ大きな差はありませんので、ポートフォリオ最適化から、MBOから為替アービトラージまであらゆるアルゴリズムはほぼ同じアルゴリズムのもとで、問題設定がそれぞれされているという程度と思います。
基本的にはトイモデルなので実用的なものではありません。量子アニーリングも接続数や速度、精度などの問題で実際には利用されていることはほぼありません。
QAEの方が重要度が高まっている
金融計算においては、リスク計算などの方に需要があるため、QAOAよりはQAEの方が需要がある気がします。JPモルガンなどは特に力を入れていて、国内の金融大手もQAEの方を重視しているので、今後のトレンドはそちらになるのかもしれません。
QAOAは社会問題全般に使えますが、サイズが小さいのと速度もまだそんなに出ないので、わざわざ金融で実用的に利用するというのは考えられにくいと思います。
まとめ
QAOAを覚えればOK。コモンウェルスバンクの論文は少しテクが必要。そのたの多くの最適化問題も定式化が進められていましたが、今のところは実用的に使える目処がないため、最近はトーンダウン。同じようにまだ目処はないが、需要があるのでQAEの方の研究が進んでいる。
金融はQAEを覚えた方が良さそうです。