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[過去記事2020年2月]量子アニーリングから量子ゲートから次は???

Yuichiro Minato

2021/01/09 06:56

はじめに

量子コンピュータ関連の仕事を始めてから今年で六年目です。今頃引退してのんびりしている予定でしたが、ビジネスの世界は全く甘くなく、いまだバリバリ現役です。今回はこれまでの量子コンピュータの遍歴とどうしてこうなったのかを書いてみたいと思います。

最初は金融計算に使おうと思った

最初はぶっちゃけ金融計算、特にモンテカルロ計算に使おうと思っていました。シミュレーションをするのが大変そうだったのですが、アナログコンピュータなら一瞬ですよね。しかも量子の力で。2014年に記事でD-Waveのニュースを見てこれだと思い、カナダの本社にいっていろいろ教えてもらい、日本に戻って2週間ほどでシミュレータを死ぬ気で作りました。

実際は勘違いでしたが、その当時はまだD-Waveも知っている人いないし、特に国内はほぼ皆無でしたので海外で聞いてくるしかないという雰囲気でした。当時量子アニーリングをしている人はみんな予算がなくて、簡単に海外に行くような感じではなかったので、予算パッと出せる僕がいきました。大手電機メーカーって意外と予算がないのにびっくりしました。

GoogleLAに誘ってもらい見てきた

とりあえず量子アニーリングという名前を2015年に流行らせようと総務省の異能vationに応募しました。幸いD-Waveに行ってきたおかげでシミュレータができてたので通ることができました。タイミングがよかったです。

2015年段階で印象深かったのは、国内は誰も量子アニーリングを使ってなかったのに、海外はバリバリ実機を使っていて、国内のシミュレーション文化とは全く違うもので、「なんで実機やらないの?」っていう感じでした。日本人は手も足も出ません。

MUFGで量子ゲートへ

当時はまだ量子コンピュータといえば量子アニーリングという意識が国内にありましたが、MUFGはさすがジャイアント。最初から量子アニーリングはやらないと決めていて、というより事前調査が済んでおり、実務に耐えられないという風潮で量子ゲートをやることに。

正直、当時2018年とかで量子ゲートをビジネス応用というのは信じられない話でした。今まで散々アニーリングで最適化してきたのに、いきなり量子回路で実用化の道筋をということでした。

最初は量子アニーリングの延長でQAOAをやりました。同時にVQEの開発もしたので、blueqatをリリースしていきなり優秀な開発者が全部作っちゃいました。

量子回路やゲートの知識はなかなかつかなくて、ようやく2020年になって慣れてきました。今ではすっかり理解しましたが、量子アニーリングとの違いは量子回路の状態ベクトルや量子ゲートの演算が頻繁に出て、測定や基底などを理解することです。

しかし、その間にも本を2冊出版してもらい、ビジネス書と数学の専門書を出すことができ、なんとか量子ゲートにも慣れてきました。

量子ゲートのNISQ対応

正直現在は量子化学計算をするか、組合せ最適化計算をするかです。量子アニーリングのマシンはサイズが大きいので量子ゲートのQAOAよりも見栄えします。しかし、大きな最適化はまだ古典計算機でいい結果が安く出るので、量子ゲートの可能性に賭けるために、量子アニーリングの実用化から遠ざかり、基礎研究に戻ることにしました。

NISQのVQEはとてもいいアルゴリズムですがパワー不足です。

さらにQAOAは計算量が必要なのですぐには使え無さそうです。正直2020年になって多くを学び、NISQで結果を出すのは厳しそうだなと感じ始めました。加藤くんは2019年半ば以前には感じていたようです。

QAOAの4ノードmaxcutに実機で10分かかります。実用化はまだまだ厳しいでしょう。最先端論文を読んでも悪戦苦闘の影が見えてしまいます。

研究

特にこの分野では、研究は実用化と遠いものです。モンテカルロの精度が少ないサンプルでもとまるとか、理論的に有利な結果が出たと言っても全く実用化になりません。というのをこの三年思い知りました。

大学が研究と教育の両方を担当している意味がわかりました。量子コンピュータは実用フェーズの前に教育フェーズが入り、ようやく教育フェーズに入りつつあるレベルでした。この段階ではまだ社会実装は時間がかかります。

量子と古典のクロスポイント

ということで、教育を中心に活動を始めました。量子コンピュータの本当の実用化が実現したらすぐに結果が出せる体制です。それまで耐えないといけませんが、新しい量子と古典のクロスポイントを探すため日々努力をしています。

まとめ

6年間頑張ってきて、結論はまだ実用化には時間がかかりそうです。課題は問題サイズと精度、そして忘れがちなのがコストです。いいソルバーで手元PCで実行すると、17億円の量子コンピュータと10万円のノートPCの実行速度の差はわずかです。いいコストに収まるのも時間がかかりそうです。

これまではなんとか成果を出そうかと頑張りましたが、今年は冷静に状況を見極めたいと思います。

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