日本勢の量子コンピュータへの取組の現状 (2)富士通、デジタルアニーラとは

日本勢の量子コンピュータへの取組の現状 (2)富士通、デジタルアニーラとは

§ この記事の目的

アメリカが一歩リードしつつも、世界的に量子コンピュータの開発競争が加速しています。
我が国、日本勢の現状はどうでしょうか。
日本を代表する大手ITメーカが現在取り組んでいる量子コンピュータ分野の現状を確認してみたいと思います。
(調査2021年10月時点の現状となります)

今回は、富士通が取り組んでいる「デジタルアニーラ」についての調査です。

§ 実用化段階に進化した「デジタルアニーラ」

富士通デジタルアニーラは、富士通が開発している組合せ最適化問題特化型マシンです。
こちらも日立CMOSアニーリングと同様に量子コンピュータの実機ではなく、古典コンピュータを用いて、 量子コンピュータの原理を仮想的にシミュレートし計算を行う種類のマシンです。

デジタルアニーラは2018年の商用化依頼、第一世代、第二世代、そして現在は第三世代と進化してきました。

主な特徴は、実機のように絶対零度付近に冷却する必要が無く常温で動作すること、小型化が容易であること、 そして何より、10万量子ビット規模で全結合の計算が行えることです。
イジングモデルで定式化された組合せ最適化問題(QUBO問題)をそのまま扱うことが可能ということです。

富士通からデジタルアニーラの進化についてのロードマップが出ていますので、以下に引用します。 image
出典:富士通

こちら↓はデジタルアニーラで利用する専用プロセッサ「Digital Annealing Unit(DAU)」です。 image
出典:富士通

§ デジタルアニーラの動作原理

デジタルアニーラの技術についての論文が公開されています。

第三世代デジタルアニーラの技術
https://www.fujitsu.com/jp/documents/digitalannealer/researcharticles/DA_WP_JP_20210922.pdf

以下にデジタルアニーラの技術面について一部を抜粋します。

組合せ最適化問題をイジングモデルに落とし込み、スピンの状態(-1,+1)を バイナリー変換(0,1)に変換したエネルギー関数に対し、MCMC(Markov-Chain Monte Carlo:マルコフ連鎖モンテカルロ)法で高速に系のエネルギーが最小となる基底状態を探索するアーキテクチャ

さらに富士通が独自に開発した処理として、量子コンピュータは量子ビットに対してユニタリー演算を作用させて状態を遷移させ解を求めるが、デジタルアニーラでは古典ビットに対し確率的な状態遷移を繰り返し作用させる処理を、デジタル回路で高速に行い、さらに、エネルギー関数(ハミルトニアン)とその階差を差分演算で並列計算する独自のアーキテクチャを開発したこととなっています。

§ クラウドでの活用

第三世代デジタルアニーラは2021年2月からクラウドサービスとして提供が開始されています。

§ 関連記事

富士通デジタルアニーラのWebサイト
https://www.fujitsu.com/jp/digitalannealer/

日本勢の量子コンピュータへの取組の現状 (1)日立、CMOSアニーリングマシンとは
https://blueqat.com/tetsurotabata/cf8512b6-3042-4556-9fed-e3c46c78cfd5

Tetsuro Tabata
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