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2023年、世界的な量子コンピュータ激動の年を「中性原子」と「半導体量子」で生き抜く

Yuichiro Minato

2023/07/16 00:10

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今、量子コンピュータ業界は激動の年を迎えています。それは、ソフトウェアではなくハードウェアです。ソフトウェアは逆にほぼ壊滅的状態ではないでしょうか。半導体業界に波があるといわれるように、量子コンピュータ業界にもいよいよ大きな波やうねりが産業的に見られてきました。

「日月相推して明生ず(易経 繋辞下伝)」

わが社は設立15年目、量子コンピュータを2014年に初めて9年目となります。これまで量子アニーリングや量子ゲートNISQなどの波を乗り越え、今回再度の波に飲み込まれています。世界ではNISQは計算が厳しいということで、アーリーFTQCに向かっています。ただ、FTQCの実現はハードウェアが大事になります。現在FTQCに向かって順調な滑り出しをしているのはおそらくイオントラップ型で、IonQやQuantinuumなどが筆頭となります。超伝導は接続性や性能面でFTQCは正直不利なのではないでしょうか。半導体量子も現状ではまだ厳しそうです。そうなると量子コンピュータの今後3から5年を引っ張っていくのは、イオントラップや中性原子になりそうです。日本ではこの二種類の事業化は計画されていないので、日本はハードやソフトウェア開発でキツくなりそうです。

米国の最新の量子コンピュータ向けのプログラムの採択企業はほぼ中性原子型量子コンピュータ企業となっています。

https://wellcomeleap.org/q4bio/

Infleqtion / Harvard / PASQALなどの欧米の中性原子量子コンピュータ企業が並んでいます。

米国の量子コンピュータ企業の株価を見るとさらに一目瞭然です。IonQは23年7月現在で、時価総額3000億。一方で、RigettiやD-Waveなどの超伝導勢は300億と1/10となっています。事業として行っていることはさほど変わりがないのに、時価総額は性能やトレンドがそのまま反映されています。

現状量子コンピュータのソフトウェアは絶望的に利用できない状態なので、多くの企業はChatGPTなどの生成AIに予算を振り替えています。NISQについては弊社でもNVIDIAのGPUを利用したcuQuantumを利用するなど、実機の量子コンピュータの過渡期において企業として既存計算機を利用して今後3-5年を乗り越えるなど変わりの対策を昨年から立てており好評をいただいています。安易に古い技術にとどまることは業界の流れに逆行する動きとなり、自社の競争力を大きく毀損することになりかねません。

https://developer.nvidia.com/cuquantum-sdk

cuQuantumの利用により、弊社では1000量子ビットから数1000量子ビットの量子ゲート型のアルゴリズム実行ができているため、しばらくは量子コンピュータのアプリケーション開発に困ることはないと思います。GPUを利用して手元もしくはクラウド経由でいくらでも最新の量子コンピュータアプリ開発ができ、それを実機の量子コンピュータに還元できるので全く困ることがありません。

[ベンチマーク]1000量子ビットmaxcut p=2 QAOA。GPU量子ゲート量子コンピュータシミュレータ。

https://blueqat.com/qbm/57b2aeee-6ad1-468a-bbc9-8524879f44be

中性原子型量子コンピュータが欧米で流行っている理由は量子ビット数に他なりません。接続数をキープしたまま量子ビット数を1000量子ビット程度まで拡張できる大規模化が可能で、かつ最近ではイオントラップ同様で誤り訂正がだいぶ進んでいます。今後アーリーFTQCに向かうにつれてイオントラップと中性原子がリードしていくことは確実です。GPUを利用した大規模なテンソルネットワーク型のシミュレーションとハイブリッドでしばらくは1000量子ビットまでは拡張ができ、さらに接続性を活かして誤り訂正も進むと思います。

超伝導が誤り訂正で苦労しているのは、主に接続性と性能です。超伝導や半導体は平面上への配置ですが、量子ビットが固定化されており、接続を確保するのが難しいです。また、超伝導は作りやすいということで初期は伸びましたが、大手の拡張計画を見ても大型の設備を使う必要があり、冷凍も難を極めます。Google社は2018年の量子超越いこうあまりハードを作っておらず、5年経って最近ようやく70量子ビット超を開発をしましたが、外部提供もしておらず、2018年頃に主任開発者も退社しており、開発に積極的でないことが窺い知れます。量子ビットのサイズも大きくなかなか拡張が難しいという困難があります。また、性能面でもイオントラップに大きく差をつけられており、現在超伝導の最高の量子ボリュームは512くらいですが、最新のQuantinuumのイオントラップの量子ボリュームは520,000に至っています。このようなことから明らかに欧米では中性原子やイオントラップへと量子ハードウェアの開発の中心がうつっています。

我々も最新の企業とのアプリケーションプレスリリースはイオントラップ型量子コンピュータとGPUになっています。

博報堂DYホールディングス/blueqat、VQE/QAOAを用いた最適輸送問題を量子コンピュータで実証

https://blueqat.com/qbm/3a314cba-1e6c-4cb4-9181-a0e914c5f231

では、ソフトウェアもまだ見えず、ハードウェアが手に入らない現状でどうすればいいのか?最近もう一つの大きな波が来ているので、ハードウェアはそれに賭けようと思います。それが半導体です。現在日本が力を入れている半導体を利用することで量子コンピュータが作れますが、それが最近急激に伸びています。欧米でも伸びていてアジアでも取り組みが加速しています。

Intel、12量子ビットの 「Tunnel Falls」 チップで、沈黙を破る

https://blueqat.com/qbm/26a5a22e-093d-46d4-a154-c6f0be226729

Sony Innovation Fund、Quantum Motion に出資

https://blueqat.com/qbm/35e82434-3b89-44de-a9d1-3ad123bafef6

Quobly(旧名Siquance)、1,900万ユーロ(約29.5億円)のシード資金を獲得

https://blueqat.com/qbm/3607eb5c-8102-49d5-b806-abb80682f9dc

スピン量子ビットは半導体プロセスを利用した量子コンピュータで近年急激に伸びています。というか今年急激に伸びています。これまでスピン量子ビットは専門家の間では2-3量子ビット程度しか作れないだろうと見込まれていましたが、半導体の技術発展によりIntelが23年6月に12量子ビットの最新チップをリリースしました。これにより急激に半導体量子に注目が集まると考えられます。イギリスやフランス、米国でも急激に資金調達が進んでおり、開発が加速化していることがわかります。弊社でもSEMI Japanの量子コンピュータ協議会の委員長をしており、今年は大きく飛躍する年であると考えます。そのためには日本の半導体サプライヤーの協力や開発加速が重要です。スマホの革命、電気自動車に続いて、半導体分野でも今後量子コンピュータが急激に発達する可能性があります。

もともと量子コンピュータが注目されている理由の一つとして既存半導体技術の微細化の限界が挙げられます。実際最近の最新プロセスでは商用事業化でかなりの苦労が起こっているのがニュースで見れます。いよいよ量子コンピュータの事業化が迫ってきているとも考えられるため、今年から中性原子と半導体量子に注力し、時代の波に乗っていこうと思います。ソフトウェアはしばらくは無理なので、GPUを利用した機械学習に注力し、量子コンピュータのソフトウェアの波が復活するまで待ちます。

以上です。

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