最近国内外での量子コンピュータのトレンドを聞かれることが多くなりました。いろいろな報道やビジネスがあります。量子アニーリング、NISQなどのキーワードを耳にする機会もあると思います。今一番ホットで最先端なのは「FTQC」です。
FTQCはFault Tolerant Quantum Computerの略で、誤り耐性付きの量子コンピュータを指します。こちらの過去の投稿も参考にしてください。
量子コンピュータの新時代。NISQからFTQCへ。(2021.03.21)
https://blueqat.com/yuichiro_minato2/0eac083b-536b-4baa-8ff0-3b51c5e8a4a9
これまでの国内外のトレンドは、
1,量子アニーリング(2016年ごろ)
2,NISQ量子ゲート(2019年ごろ)
ときましたが、それらの時代を終え、次はFTQC量子ゲートの時代に入りました。
D-Waveが量子ゲート方式の量子コンピューター製造を計画中
https://jp.techcrunch.com/2021/10/06/2021-10-05-d-wave-plans-to-build-a-gate-model-quantum-computer/
「私たちは当社の顧客が実務的価値を促進するために何を必要としているかを予測しており、実務的応用価値を備えた量子誤り訂正ゲート方式システムが、量子アプリケーション市場のもう1つの重要部分である量子シミュレーションシステムに必要であることを知っています。これは材料科学や医薬品研究などの分野で特に有効な応用です」
のように、量子アニーリングが主体であったD-Wave社ですら、FTQCの流れには抗えず、海外ではFTQCの波に乗り遅れることを各社危機感をもって取り組んでおり、ビジネス上最重要視されています。
また、実機量子コンピュータ上での誤り訂正、誤り耐性の実行が実現され始めており、もはや夢物語でなく実験室ではFTQCが実現され始めており、ビジネスの現場にFTQCの実機量子コンピュータが登場間近となっています。
NatureにIonQイオントラップでの誤り訂正論文が登場
https://blueqat.com/yuichiro_minato2/a3253b1d-9eba-499e-b8d0-305b4e170bd5
NY証券取引所に上場したIonQは誤り訂正を実証しており、これが今回の上場資金を得ることでより一層開発が強化されます。また、ハネウェルのQCCDイオントラップマシンも、同様に誤り訂正のプレプリントを発表しており、2021年から2022年は量子誤り耐性の実現とビジネス化が急激に進む展望となっています。
[論文レビュー]リアルタイムでのフォールトトレラント量子エラー訂正の実現(ハネウェル10量子ビットマシン)
https://blueqat.com/yuichiro_minato2/e8cfcad9-0571-48cf-b0cf-89e1fca15a4a
ソフトウェアも当然これに合わせてFTQC対応が必要です。NISQでのVQEやQAOAの学習は終わらせましたか?新しい時代に先駆けてどんどんビジネスが大規模化しています。BCGの最新レポートでも多くの具体的な事例やロードマップが多数紹介されており、その通りに時代が進んでいます。FTQCは非常に高度な技術で成り立っており、多くの産業や基幹産業が総力を結集して実現し始めています。
FTQCで期待される計算のポイントは脱ハイブリッドです。FTQCが実現することで、最初から最後まで量子コンピュータのみの計算が実行できるようになれば、量子重ね合わせや量子もつれをふんだんに活用することができます。
量子コンピュータ業界は技術とそれに応じたトレンドが大事です。ぜひ追いかけてみてください。以上です!